職人が作り出す芸術としての美しさと、沸かしたお湯を美味しくする機能性。
伝統の中に先人の知恵が生きる南部鉄瓶。
お茶屋だから、お茶を美味しくする鉄瓶にもこだわっています。
岩手県盛岡市と水沢市の地域で生産された鋳物のみが南部鉄器と呼ばれています。繊細な肌質と重厚感のある味わいが特徴で、約400年前より保護育成されており、昭和50年には国の伝統工芸品に指定されました。
鉄瓶をつくるには、まずデザインを考えることから始まります。デザインが決まると鋳型の中に溶かした鉄を注ぎ込み、冷えるのを待って取りだし、着色、つるをつけます。完成までに実にたくさんの行程があり、そのほとんどが熟練を要求されます。
南部鉄器で調理をすると鉄分が少しずつ溶け出し、水分に鉄分が移り、それを飲むことによって鉄分補給が可能です。溶出する鉄分が人間の身体に吸収されやすい「二価鉄」と呼ばれるもので、継続的に鉄瓶を使うことで貧血予防や改善に効果あることが明らかになっています。
鉄瓶を使い続けると、内部が茶色くなってきます、これは錆ではなく、湯あかといい、お湯をまろやかにしてくれます。この湯あかがついた状態を「鉄瓶がなれる」と言い、水の味が柔らかく美味しくなるのです。鉄瓶は使い込む程、より良い品に成長し、長く使える工芸品なのです。